リンガーハット、ハングリーヘブン、券売機で飲食店が「二毛作」メニュー開発を成功させる方法

1つの店舗で昼と夜のメニューを切り替え、それぞれの時間帯に合った料理を提供する「二毛作」。取り組んではみたいけど、実際には、手間や材料費を考えると難しい、と悩んでいる経営者も多いのではないでしょうか?
今回は業種の垣根を越えた大手チェーンの展開事例、仕入れ原価を上げることなく、余った材料を使用することで大成功したハンバーガーショップの例を基に二毛作を成功させるポイントを紹介。また、業態を変えた二毛作が難しいお店の場合の客単価アップの方法も最後に記載いたします。
昼と夜で業態を変える「二毛作」メニュー開発を成功させるには?

(1) 初の「バル」をオープンしたリンガーハット

長崎ちゃんぽんで有名な「リンガーハット」は7/15、新橋駅前に初の「バル」業態をオープンしました。 「バル」とは、軽い食事とお酒を出すお店のことで、立ち呑みを行っているスペイン料理風の料理店でバルという呼称を使っていることが多いようです。 リンガーハット新橋店は日比谷口前交差点近くの飲食店ビル「PERSA」の1Fにあり、銀座にも近いことから多くのビジネスマンや外国人が訪れます。 昼は通常のちゃんぽんなど、これまでと同じメニューを提供、17時以降はバル業態にシフトチェンジし、ビール、ワインなどのアルコール類やそれに合った食事を後払い方式で提供。 主に会社帰りのビジネスマンや訪日外国人(インバウンド)需要を見込んでの出店。

都市部のビル立地に出店するリンガーハットの来店客の男女比率は男性が70%、女性が30%とのこと。それを新橋店では女性が利用しやすい店舗デザイン、メニューを提供することで男性50%、女性の来店比率を50%まで引き上げることを目標としています。

リンガーハットは2013年から「ちょい飲み」に対応した「ちゃんぽん酒場」も展開しており、実施店でのアルコール売上構成比は約15%(通常のビルトインでは約10%)。バル業態では約20%を目標とすることを打ち出しています。

なぜ、専門店が異業種に参入するのか?

ではどうして、昼と夜とで業種・業態を変える必要があるのでしょう?
次のような理由が考えられます。
①ファーストフードをメインにする業態では、夜に客数が落ちるため、単価を上げる必要がある。
②スケールメリットにより居酒屋専門店よりも安くドリンクや食事を提供できる。


元々の業種と別の居酒屋業に参入している例としては、吉野家や松屋、すき家、てんや、日高屋、ベッカーズバーガー、最近ではスターバックスなど数多くあります。
前ブログで、1994年あたりから居酒屋業の売上減少が続いていることが明らかになりましたが、「飲み」の需要自体が衰えているわけではなく、飲みの場所が居酒屋から異業種に移っている可能性が高いのです。

こうした背景には飲食店全体の客数が減少していることがあるようです。
利用客数前年比

JF外食産業市場動向調査より

そのため、客単価を引き上げざるをえず、元々単価の低かったファーストフードなどの業態が客単価の引き上げを目指し、居酒屋、パブが単価を引き下げるという逆転減少が2008年頃を境に起こっています。
客短歌前年比

JF外食産業市場動向調査より

リンガーハット新橋店の場合、「平均客単価は、ランチはビルインタイプ店舗と同様の700円程度、ディナーはアルコール込みで1400円~1500円程度。目標月商は1200万円。アルコールの提供を全面に打ち出すことで、ビルインタイプのディナー平均客単価800円を超える売上を想定する。」(流通ニュース記事より) つまり、客単価を引き上げるためにアルコール構成比で約20%を目指す必要があるわけです。
リンガーハット他、多くの飲食店が業態の垣根を越えて二毛作による顧客獲得に乗り出した背景には飲食全体の客数減少による、単価の引き上げという、業界全体にかかわる大きな問題があったのです。

次は具体的にどうすれば、チェーンではない個人店も二毛作メニューの開発ができるのかを見ていきます。

(2) 昼はハンバーガー、夜は焼肉で成功した「Hungry Heaven 目黒店」

二毛作を行う場合、懸念されるのは材料費が余計にかかってしまうのではないか?ということ。しかし、アイデアと工夫次第で無駄なコストを削減し、かつ安く質の高くボリュームのあるメニューを提供することもできるのです。
目黒駅から3分ほど歩いた雑居ビルの2Fにある「Hungry Heaven 目黒店」というお店。飲食店で2F、さらに目立った看板もないのですが、月商は昼で月400万円、夜で月500万円、合計900万円を売り上げる大繁盛店です。

1987年に「焼肉ギュービッグ」として営業を開始。2008年にハンバーガー店を二毛作として開始。2010年12月に目黒にお店をオープンさせています。

ランチメニューの「ハングリーヘブンバーガー」は平日セットメニュー840円〜でポテト・ドリンク付き(土日は+53円)。大手チェーンのハンバーガーランチセットと比べるとお得感があまりないように思えますが、写真を見るとわかるように圧倒的なボリューム(写真はチーズチーズチーズ1,150円)で、ポテトは大盛り120gまで追加料金なし。
ハングリーヘブンバーガー
写真:http://hungry-heaven.favy.jp

食べログでも高得点を獲得している人気店です。

どうやって、ランチの料金を下げているのか、その秘密は
  • 「焼き肉業態で使っている牛肉で、大量に端材が出る部位がある。それをハンバーガー業態で提供するパティに配合しているため」(玉山勝大取締役)
  • ハンバーガーはもともと端材を有効活用するために開発された商品。「ハングリーヘブン」では「原価のかかっている部位の端材」(玉山取締役)を使っているため、お客にお得感を提供できる
「日経MJ 16/3/8記事より」

ファーストフードといえば、まずハンバーガーと連想されるくらいメジャーで、競争の激しい業態で、いかにしてライバルより優位性を保てるか?
基本的にはコストパフォーマンスの良さ、ということになります。

安くて質の良いものを提供するには、仕入れ材料の原価を徹底的に抑える必要があります。Hungry Heavenの場合、焼肉店を営業していることもあり、牛肉に大量の端材が出る部位があり、それをハンバーガーに利用することで原価を削減することに成功しています。

このように一方の業態で余っているものをもう一方の業態で再利用することにより安くて質の良いメニューを提供できるわけです。

二毛作を行う場合に、現在営業している業態の中で再利用できるものはないか、探してみる価値があります。

(3) 二毛作が難しい場合に客単価を上げるには?

以上見てきた事例のように、業態をがらっと変えてしまうことが難しいお店の場合、昼と夜とでおすすめするメニューを変える、ランチセットメニューからディナーメニューに切り替えるといった方法で単価を上げることができます。
その場合、営業時間中に休憩が取れないお店ではメニューを切り替えるタイミングが取れない、ということがあります。この問題をITで制御された券売機を導入することで解決することができます。

タッチパネル式券売機VALTECでは、昼・夜メニューの自動切り替え機能がついており、あらかじめ設定したメニューを時間により変えることができます。これにより、昼と夜とでおすすめメニューや並び順を変更でき、客単価の向上を狙うことができるようになります。
さらに、写真付きのメニューボタンでの表示になるため、1週間などの単位でおすすめや表示順序を変えるテストを行うことも簡単です。
詳しくは「使い方ガイド 時間帯別切り替え機能」をご覧ください。

次回は『安くても質が良い、人気「格安」店の秘密』どうすれば、品質を維持したままコストを下げることができるのか?
全国にある激安人気店の事例の取り組みを紹介します。