飲食店開業準備段階でのコンセプトの見つけ方

飲食店開業準備にあたって「コンセプト」が重要、とはよく言われることです。
一口に「コンセプト」といっても漠然としていて、どこから手をつけていいものかつかみずらいもの。しかし、開こうとするお店のコンセプトを事前にしっかり固めておくことで戦略が絞りやすくなり、狙うべきお客様像も明確になってきます。ここでは、飲食店のコンセプト設計について、ステップを追って作成していきます。
飲食店開業準備段階でのコンセプトの見つけ方

①飲食店におけるコンセプトとは?

飲食店におけるコンセプトは次のステップで作成していくと、明確にしやすくなります。
  1. コンセプトの元となるアイデアを見つける。
  2. 社会背景、市場調査、競合分析を行い、最も成功しそうなアイデアに絞る。
  3. アイデアを元に開業する飲食店の業態、ターゲット、商品、立地、価格などを決めていく。

1.コンセプトの元となるアイデアを見つける

まずアイデアの出し方について説明します。
アイデアの元は人それぞれですが、次のような場合に着想を得られやすいのではないでしょうか。
  • 他の飲食店を訪れたときに、もっとこうすれば良いのにとか、自分だったらこういうメニューを出すのに、など他店を見て気づいたこと。
  • テレビ、雑誌、インターネットの情報サイトからヒントを得る。
  • SNSや掲示板からユーザーの不満を見て改善策を考える。
  • 海外旅行先でまだ、日本にはない美味しい、珍しい料理を発見した。
アイデアの段階では、実現できる、できないに関わらず既成概念にとらわれない自由な発想でものごとを考える必要があります。そのため、他店やメディアなど客観的に観ることのできる媒体があったほうが、いろいろな考えを出しやすくなります。また、思いついたアイデアはメモしておき、数日寝かせてあらためて見直すとさらにブラッシュアップしていくことができます。
もう一つのアイデア発想法としては、既にあるものと別のものを組み合わせて新しいものを作る、という方法があります。
例えば、The City Bakeryのヒット商品「プレッツェルクロワッサン」はプレッツェルの塩味が効いたクラストとクロワッサンの食感を組み合わせ、新しい商品を作り出しました。
業態としては、TSUTAYA書店とスターバックスがコラボレーションし、ブックカフェという新しいジャンルを生み出しています。
このように、メニュー、業態を問わず、既存の商品やジャンルを組み合わせることで新しい価値を提供することも可能になります。

2. 社会背景、市場調査、競合分析を行い、最も成功しそうなアイデアに絞る。

飲食店開業のアイデアを拡げたら、今度はその中から本当にやりたいもの、実現できそうなものをいくつかピックアップします。 選び方としては、
  • 似たようなものがあれば、くっつけてみる。あるいは、取り除く。違うアイデア同士を結合させてみる。
  • いいアイデアではあるが、実現が難しそうな場合、代用できるものがないか探してみる。
  • 他社が既にそのアイデアを行っていることがわかった場合、応用、拡大、縮小して考えみる。
このようにしてより具体化していきます。オズボーンのチェックリストを使うとアイデアを視覚化しやすくなります。

3.アイデアを元に開業する飲食店の業態、ターゲット、商品、立地、価格などを決めていく。

ここまでの段階でできたアイデアがコンセプトにつながります。
コンセプトとは、「誰に対して」「どんな商品を」「どこで」「どのくらいの価格で」提供するか、ということです。

コンセプトを決める上での、自分が何を提供できるか?から出発することが多いと思います。例えば、ボリューム感のあるハンバーガーショップを開業したい場合を例にとると、
「誰に対して」(ターゲット)…男性20代〜40代
「どこで」(立地)…オフィスビルのテナント
「価格」…近隣のお弁当店などと比較
このようにして決めていきます。 しかし、順番として立地が先に決まっていることもあり、住宅街近くの商店街でボリュームのあるハンバーガーショップを出しても、売上を出すことは難しく、別の業態に変えざるをえなくなります。こういった場合は、ハンバーガーという商品にこだわらず、同じ素材を使って別のメニューが出せないか?などコンセプトの変更が必要になります。

②コンセプトを決めるメリット

そもそもコンセプトを決める理由とは何でしょうか?飲食店を開業するにあたって、こういうことをやりたい、という目標は誰にでもあると思います。しかし、アイデアをリストアップしている途中で、自分がやりたいことが、すでに他がやっていた、市場でのニーズが少ないのではないか?ということに気づいた場合もあるかもしれません。元々もっていた想いと現実の間にはズレがあることは多々あります。飲食店の廃業率は開業3年以内で約7割、開業10年で約9割といわれています。それだけ生き残りの難しい業界です。それでも飲食業界で生き残り、かつ成功していくためには強いコンセプトが必要になってくるのです。 さらにコンセプトを決めておくことにより、事業として戦略が打ち出しやすくなります。
  • ターゲットを絞ることにより、無駄な広告費を抑えることができる。
  • メニューが作りやすくなり、商品開発のスピード、コストを削減できる。
  • お客様の間で拡散しやすくなる。
  • メニューやサービスの計画・行動・検証・改善サイクルが容易になる。
  • お店を表すキャッチフレーズが作りやすく、ブランディングしやすい。

③コンセプトを決めるデメリット

一方で、コンセプトの決め方そのものに問題があると、どこに問題があるか発見できず、ひたすら間違った方向に進み続けることがあります。このような状況を防止するには、次のような対策が必要になります。
  • 一時的な流行をコンセプトとしない。
  • 一人でコンセプトを決めず、できるだけ多くの人に客観的な意見をもらう。ただし、最終的に判断するのはあくまで自分。
  • 直感だけに頼らず、数字、データを可能な限り収集し、分析を行う。
  • 自分の考えで改めるべきところは素直に認める。

④コンセプトシートを作成する

立案した飲食店のコンセプトを一目でわかるようにするため、コンセプトシートを作成します。 決めるものは、次のようになります。
  • メインとなるターゲット(できればサブターゲットも)
  • 立地(場所、坪数なども)
  • 提供できるメニュー
  • 独自の強み
  • 商品の価格帯
  • 店内のデザイン、空間設計(インテリアや雰囲気、席数も含めた)
  • これらを総合した基本コンセプト、キャッチフレーズ
なお、コンセプトシートをダウンロードして使えるようにいたしました。
下の画像をクリックするとPDFが開きますので、ご自由にお使いください。
コンセプトシート
画像をクリックするとコンセプトシートPDFが開きます。
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