飲食店がクラウドファンディングを成功させる3つの方法

日本でも近年、利用者が広まってきている「クラウドファンディング」をご存知でしょうか?
この仕組みを利用して、資金を調達するベンチャーやプロジェクトが増えてきています。
しかも製品開発や芸術の分野だけでなく、飲食店また、食品のレシピにおいて成功した事例も出てきています。
単に資金を調達するためだけではなく、プラスのメリットも存在し、上手く活用することで大成功したお店もあるようです。
新しいメニューや業態を始めたり、アイデアを事業化し、成功させるために必要なステップを紹介します。
飲食店がクラウドファンディングを成功させる3つの方法

飲食業での利用シーン

「クラウドファンディング」を利用して資金調達を行う場合、次のようなシーンでの利用が考えられます。

■新規開業

飲食店を新しく開業する場合、物件の賃貸、内装工事、厨房機器の購入やリース、広告宣伝費、運転資金などに多額の費用がかかります。手持ちの資金だけでは足りない場合、銀行などの金融機関から融資を受けたり、知人、親類に借りるなどして調達する場合がほとんど。ただし、事業が失敗した場合、多額の返済義務が残ってしまいます。そのリスクを軽減するために有効。

■設備の入れ替え

現在、飲食店を運営しているが、店舗や設備が老朽化。入れ替えを行いたい。また、時代の流れに合わせ、設備を最新のものにしたい、新メニューを考案したが、実現するために必要な機器が高価。などの場合。

■ブランディング

話題になりそうな新コンセプトやメニューを広告、宣伝費を使わずに広めたい。多くの人に楽しんでもらえるようなことを提供したいといった場合にも利用できます。海外では「ポテトサラダを作る」だけで600万円以上を集めたプロジェクトもあります(後述)。

■募集期間

常時

そもそも「クラウドファンディング」とは?

あるプロジェクトに対してインターネットを通じて多くの人たちに少額の資金提供や寄付を募り、目標額が集まった時点でそのプロジェクトを開始する、というもの。
資金を借りるわけではなく、【寄付】【投資】【購入】のいずれかになるため、事業開始時の金銭的リスクを最小限に抑えることができます。 日本では2014年5月に解禁されました。

参考:http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/furusato/kaigi/index.html
http://www.kantei.go.jp/jp/singi/tiiki/tiikisaisei/furusato/kaigi/tebiki_honnpen.pdf

例えば購入の場合、提供者に対してはお礼のようなかたちで、何かしらの権利や製品そのものなどが与えられる場合があります。製品が出来たら最初に受け取ることができる、とか、開発者とミーティングや食事に参加できるといったものもあります。

世界規模で見てみると、クラウドファンディングの支援規模は2013年時点で約7,320億円(出典:http://kakaku.com/crowdfunding/)。

日本でも増加を続けており、累計支援額は2015年12月で10社合計で50億円程度に達しています。
クラウドファンディング累計支出額

「日本の主要クラウドファンディング 累計支援額 月次推移グラフ」より
http://visualizing.info/cr/crowdfunding/jptrend/#m=a

メリット

クラウドファンディングには前項でも挙げたように【寄付型】【投資型】【購入型】があります。
現在、最も主流なものが【購入型】で、出資者に対してお店がオープンした際には出資額に応じて食事券をプレゼントしたり、割引クーポンを出したり、ドリンクが1杯無料などの特典を提供します。
寄付型や投資型に比べて多くの人から集めやすいことがポイントです。 また購入型で資金を集める場合、次のようなメリットがあります。

(1)ファンをつくりやすい

新規開業であればオープン前、リニューアルや設備の刷新、新メニューの提供であればスタートする前からお店のことを知ってもらうチャンスになります。
しかも、プロジェクトに共感を呼ぶストーリーがあれば、単に料理だけではなく、コンセプトや人柄に対してファンがつきます。
そこに出資した、という非日常的な要素が加わるため、期待を裏切らなければ根強いファンになってくれるでしょう。さらに、クーポンや無料券を発行することでまず足を運んでもらうきっかけができます。

(2)話題をつくりやすい

クラウドファンディングサイトで出資を募る際に、オリジナリティがあるほど、話題になりやすくなります。そのため、ネットや口コミで宣伝広告費をかけなくてもお店のことがスタート前から広まっていきます。
とはいえ、嘘や過剰なものではなく、プロジェクトを行う背景や目的がささるものでなくてはなりません。

(3)アイデアを試す場ができる

新しいコンセプトを考えて出店しても上手くいかなかったり、新メニューを考えても注文が出ない、といったリスクを抑えるため、まずアイデアを出してみて、目標の金額に達するかどうかを一つの指標にすることができます。
金融機関では融資を受ける際に事業計画書を出したりしますが、計画と実際の運営では全く異なることが多々あります。仮に融資を順調に受けることができても、当初の思いどおりお店が軌道に乗らなければ返済だけが残ってしまいます。
しかし、大勢の一般の人に支持されるものであれば、必要なお金も集まり、目指すべき方向性の面でも確信がもてるようになります。

失敗しがちなプロジェクト

メリットが存在する一方、やはりお金を出してもらうことは簡単ではありません。次のような中身の薄いものに支持は集まりにくい、といえます。
  • 単に資金集めだけが目的の場合
  • 地域活性化や雇用を生み出す、現地の材料だけを使ったのような大雑把でありふれたテーマ
  • アイデアだけで具体的に行動していない
  • クラウドファンディングサイト内のページ内容が薄い
成功させるためには何のために行うのか?
また、お客様にとって何のプラスがあるのか、をしっかり考えましょう。

中にはこんな方法で成功したプロジェクトも

クラウドファンディングで多くの注目と資金を集めた中には海外ですが、「ポテトサラダを作ります」(2014年)というものがあります。
ただ単にポテトサラダを作る、というものに6911名から5万5492ドル(1ドル=120円として600万円以上)を集めることができました。

プロジェクトの開設者ザック・ブラウン氏はプロの料理人ではなく、WEB制作会社「Base2」の経営者。全く無関係に思えるこのチャレンジがなぜ、こんなに成功したのでしょうか? 同氏が答えたいくつかのインタビューの中に成功へのヒントがありました。

(1)開始のタイミング

「7月4日(アメリカ独立記念日)は皆がポテトサラダについて話題にしている。そこで、ちょっとしたジョークで”キックスターター”(アメリカのクラウドファンディング プラットフォーム)で目標額$10集まったらパーティーでポテトサラダを作りに行くよ、というプロジェクトを開始することにした」 と答えているように、「いつやるか?」適切なタイミング選びが重要です。

(2)多くの人に楽しんでもらう

ブラウン氏としては、50〜60ドル集まる見込みで、友人がパーティーをやるときに呼んでくれればいい、という考えだったのですが、一晩のうちに人から人へ伝わっていき、ついにはテレビ局の取材まで依頼が来るように。つまり、これまでになかったユニークなアイデア一つが”つながり”によって大きな影響力を持つようになるということです。そのためには、一人が利益を得るのではなく、多くの人が楽しめる内容でなければなりません。

(3)トレンドを追わない

最初にキックスターターのことを知ったキッカケは、エンジニアの一人がTシャツのプロジェクトを実施しており、”20ドルでドクロのTシャルを、35ドルで「薄い」ドクロのTシャルをあげるよ”と言われたことだったそうです。似たようなプロジェクトは多々あり、当時、他に成功した有名なものといえば「Oculus Rift」のような巨大なものになっていました。 そこで、ブラウン氏はそういったものとは違う半分冗談のようなものにしようと決めたそうです。「ポテトサラダ」の類似はこの後、雨後のタケノコのように次々と出てきましたが、二番煎じで成功したものはありません。

出典:
http://www.businessinsider.com/zack-brown-potato-salad-kickstarter-2014-7
https://techcrunch.com/2014/09/02/an-interview-with-the-potato-salad-king-of-ohio-zack-danger-brown/

まとめ:成功のための3つの条件

以上の成功事例から3つの外せない条件があります。

(1)資金が必要な目的、背景、ストーリーを素直に記述する。

(2)アイデアだけではなく、実行可能なものにする。

開店の場合は物件は抑えているが、設備を購入する資金が足りないなど、具体的に何をしているかも重要。

(3)流行りを追わず、自分がどうしてもやりたいこと、多くの人に楽しんでもらえるものに絞る。

これらを参考に、ぜひクラウドファンディングを活用してみてください。

国内の「クラウドファンディング」プラットフォーム

最後に日本国内で利用できるクラウドファンディング プラットフォームをいくつかまとめます。
それぞれ、成功時の手数料率や調達失敗時の返金方法が異なりますので、開始前にチェックしてください。

次回は「どうすれば新しいメニューやアイデアを出すたせるのか?そのために必要なたった1つのこと」について紹介いたします。

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